スイカの白皮ジャムは、パレスチナをはじめとするレバント地方で親しまれてきたムラッバと呼ばれる伝統的な保存食(果物やその皮を砂糖シロップで煮詰めたもの)のひとつです。夏に大量に出回るスイカを無駄なく使う知恵から生まれ、普段は捨てられてしまう白い皮を甘く煮詰めることで、見た目にも美しい琥珀色のジャムに仕上げます。
ジャムといってもしっかりとした固形で、現地ではお茶請けやおもてなしの小皿菓子として食べられています。家庭ごとに風味づけが異なり、華やかな香りのローズウォーターを加えたり、クローブやシナモンといったスパイスを加えるなどバリエーションも豊富です。
材料(直径20cmほどのスイカの半玉を使う場合):
- スイカの白い部分 350g
- 重曹 大さじ1
- レモン汁 半個分
- 砂糖 3カップ(甘みはお好みで調整してください)
- クローブ 3粒ほど
- シナモンスティック 1本
- 水 200ml
作り方:
1.スイカの赤身と外皮を取り、白い皮の部分だけの状態にします。できるだけ赤い部分を取り除いた方が、仕上がりが綺麗になります。
これを1㎝四方のサイコロ状になるように切ります。

2.ボウルに刻んだスイカの白皮と重曹大さじ1・レモン汁半個分を搾り入れて数時間~一晩おきます。
この工程がパレスチナや周辺地域でジャム作りをするときのポイントで、その後調理するときの煮崩れ防止になります。
3.漬けて置いたスイカの白皮をザルにあけて、流水で洗います。
4.鍋に砂糖とクローブ・シナモン、2.で使ったレモンの皮の部分、そして水200mlを入れて火にかけ、沸騰したら3.を投入します。
5.しばらく中火にかけ、ある程度水分が蒸発してとろみが付き始めたら、火を弱くして焦げないように時々混ぜながら更に水分をとばします。
スイカの白皮が透き通る黄金色に色づいたくらいが出来上がりです。
砂糖水のシロップが残っていても大丈夫です。

※粗糖と、シナモンスティックの代わりにパウダーを使ったので茶色味が強いですが、材料によってはもっと明るい色合いになると思います。
洋風の瓶詰めジャムとはすこし異なり、家庭の食卓で少量ずつ食べる甘味という位置付けです。
朝食に添えたり、ほっと一息つくとき・来客時のお茶請けにするなど、日常の中で少しずつ楽しんでみてください。

