Sumakiyyah(スマキーヤ)は、パレスチナの中でもガザ地区の名物で、13世紀のアラブ料理の古書にも登場する歴史ある料理です。
特にお祝いごとや家族の集まりで供されることが多く、家庭ごとにレシピが少しずつ異なりますが、味つけの主役はこの地域で豊富に採れるスマック(ウルシ科の果実から作られる酸味のある香辛料)で、これが料理名の由来にもなっています。
シチューのようとも説明されますが、スマックと香ばしくまろやかなタヒニペーストの組み合わせは、日本で知られている牛乳や豆乳ベースのシチューや煮込み料理とはまるで異なり、何とも表しがたいエキゾチックな味わい深さがクセになる一品です。
材料(たっぷり5~6人分):
- 牛肉or羊肉の角切り 500g
- 玉ねぎ 1個
- ほうれん草 200g(1袋)程度 ※手に入れば、スイスチャードの方が本場のものに近いです
- ヒヨコ豆(乾燥豆を茹でたものor水煮缶)
- オリーブオイル 大さじ3
- 水 約750 ml(牛肉がかぶるくらい)
- ローリエ 2枚
- ローズマリー 1本(あれば)
- オールスパイス 5粒(あれば)
- 塩コショウ 適量※スパイスやハーブは作り手によってかなり幅があるので、ローズマリーやオールスパイスの代わりに、コリアンダーシード、カルダモン、シナモンなどを入れても大丈夫です。
<スマックペースト>
- スマック 大さじ3
- 熱湯 2カップ
- 小麦粉 大さじ2
- タヒニ 大さじ3
- ごま油(タヒニの上澄みでも) 小さじ1
<トッピング>
- ディルシード 大さじ1 (フェンネルシードorキャラウェイシードでも可)
- にんにく 3~5片
- 唐辛子フレーク お好みで
- オリーブオイル 大さじ2
作り方:
1.鍋にオリーブオイルを熱し、みじん切りにした玉ねぎと食べやすい大きさに切った牛肉と塩少々を入れます。牛肉の色が変わるまで炒めたら、牛肉がかぶるぐらいの水を注いでローリエとローズマリー、オールスパイスを入れ、沸騰させます。途中アクが出たらすくって取り除きます。蓋をして、牛肉が柔らかくなるまで30分ほど弱火にかけておきます。

2.その間にスマックペーストを作ります。小さいボウルなどにスマックを入れ、2カップの熱湯を注いでそのまま半時間ほどふやかしておきます。

3.スマックをつけておいたボウルに小麦粉とタヒニを加えます。まずは小麦粉から、3回くらいに分けて少しずつ加えては混ぜることを繰り返し、その後タヒニも数回に分けて加えてはよく混ぜます。材料がムラなく馴染めば、スマックペーストの完成です。

4.牛肉がやわらかくなったら、水分とともに一度お皿に取り出して、牛肉を調理していた鍋に少しオリーブオイルをしいて、刻んだほうれん草を加えて炒めます。
ほうれん草に火が通りしんなりしたら、鍋に牛肉とスープを戻して、ヒヨコ豆とスマックペーストを加えて、時々かき混ぜながら弱火で10分ほど煮ます。

※少しずつとろみがついてきます。鍋の底が焦げないように注意してください。
5.別の小鍋やフライパンなどに薄くオリーブオイルを敷いて熱し、すり鉢などで潰したディルシードとにんにく1片(と、お好みで唐辛子フレーク)を香りがたつまで炒め(焦げないように注意してください)、鍋に加えて軽く混ぜます。塩コショウで味を調えてできあがりです。

6.お皿によそってオリーブオイルをひと回し掛け、スマックと唐辛子フレーク(お好みで)をトッピングしてできあがりです。4.の工程でヒヨコ豆を少し残しておいて、後から数粒乗せても彩りが綺麗になります。

登場しているスパイスにはオールスパイス、ディルシードなど馴染みの薄いものもあるかもしれませんが、スマックとタヒニさえあれば後は手持ちのスパイスに置き換えて作って頂けます。古くから受け継がれてきたガザの味に、ぜひ挑戦してみてください。

