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【野球ファン必見】侍ジャパンの未来のライバル?今パレスチナ野球が熱い!第二のチェコ

写真:2023年のアジア選手権に出場した野球パレスチナ代表のターリク・スブーフ捕手。出典は世界野球・ソフトボール連盟(WBSC)公式サイト

国際ニュースで大きな話題となっているパレスチナ。「情勢が不安定」というイメージが強い同地域ですが、実は野球が熱いんです。2023年3月のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)では野球新興国ながら日本代表相手に健闘したチェコ代表が注目を浴びましたが、パレスチナ代表も同じように侍ジャパンと対戦する日も近いかもしれません。

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ランキング急上昇中のダークホース

パレスチナ代表は今、国際試合でめきめきと頭角を表しつつあります。8月5日時点の世界ランキングでは38位と東アジアやアメリカ大陸の強豪国にはまだまだ及びませんが、昨年2024年と比べると8ランク上昇しています。アジアでは現在9位です。

パレスチナ、特にガザ地区に野球が入ってきたのは2016年頃と、かなり最近のこと。プロサッカー選手のマフムード・ターフェシュさんが、隣国エジプトで野球イラク代表のコーチと出会ったのが始まりです。彼が野球をガザに持ち帰ってからわずか1、2年で、男子と女子のチームがそれぞれ5つずつできました。

女性も野球をプレーしていることも注目されるべき点です。イスラーム教徒が多数を占めるパレスチナでは、宗教・文化上の理由から女性はあまりスポーツをしない傾向にあります。しかし野球とソフトボールは現地で人気のサッカーなどと比べて身体接触が多くないことから、女性も参加しやすい素地が整っているんです。「野球=男子のスポーツ」とのイメージが強く、まだ女子野球がメジャーではない日本よりもむしろ進んでいるかも?

ヒジャーブにヘルメットを被って打席に立つ女子選手。出典は下記のGofundmeサイト。

近年は国際試合で快進撃を続け、その名を轟かせています。2023年には、台湾で行われたアジア選手権に出場。日本からは社会人野球の代表が参加する、出場するハードル自体が高い大会です。2025年5月には、世界ランキング上位のパキスタン(野球と似たクリケットが昔から人気です)を破り、西アジアカップで優勝しました。

野球がプレーされ始めてから10年足らずで国際舞台で活躍しはじめたパレスチナ野球。東アジアやアメリカ大陸の国々が上位を占める野球シーンを変革する、ダークホースになりうる存在です。

イスラエルによるガザ住民虐殺の影響

そんなパレスチナの野球シーンも、現在起きているジェノサイド(大量虐殺)を抜きにして語ることはやはりできません。2023年10月7日以降、ガザ地区の住民はイスラエル軍による攻撃の被害に遭っています。

👉パレスチナに関する情報・解説

ガザ地区在住の選手は地区外に出ることができないため、アメリカ在住の選手だけで試合に参加せざるを得ない状況です。

試合に参加できないどころか、選手たちの命さえ次々と奪われています。2024年3月には、代表チームのキャプテンだったアシュラフ・ムラド選手が空爆で殺害されました。外野と内野を守るユーティリティープレーヤーだったムラド選手は当時39歳。日本のプロ野球で言えば、プロ入り以来18年間中継ぎを務める日ハムの宮西尚生投手や、巨人の大ベテラン・長野久義選手、ソフトバンクと巨人を引っ張った「熱男」こと松田宣浩選手と同学年でした。

代表ユニフォームを着たムラド選手。出典はWebマガジンPalestine in America

今年3月には、U18代表のアフマド・アリー・ガルバーウィー選手も殺害されています。ガルバーウィー選手は当時17歳。晴れてトップチーム入りする間近での死でした。そしてこの記事を執筆し始めた後の8月12日には、21歳のムスタファー・ターフェシュ選手も殺されました。日本の野球で21歳と言えば、高卒でプロ入りして1軍で活躍する選手も出てくる年頃。大学野球では3、4年生としてチームを引っ張る立場にあります。

写真:上から、ターフェシュ選手とガルバーウィー選手。いずれも出典はWebマガジンPalestine in America

このように、イスラエルによるガザ地区への空爆はパレスチナ球界の輝く才能を容赦なく奪っています。日本球界で言えば、各チームの精神的支柱となったベテラン選手や、甲子園や神宮で活躍したプロ注目の学生、高卒で入団したライジングスターが次々と殺されているようなものです。…と言ったら、現在の状況がいかに異常であるかが伝わるでしょうか。

球場再建クラファンも実施中

ジェノサイドで破壊された練習場を再建したり、野球道具を購入しなおしたりするため、パレスチナ代表は現在クラウドファンディングを募っています。

👉We live by reviving sports, Help the baseball team in Gaza

今はイスラエル軍による虐殺が止まらず野球どころではないのが現状ですが、停戦後にガザの人々が人間らしい生活を取り戻すために必要な支援だと思います。

そしてパレスチナ代表がさらに活躍するためにはまず、今起きているジェノサイドを止めることが必須です。オリーブジャーナルではメディアであまり取り上げられないパレスチナの現状や私たちにできるアクションをまとめているので、そちらもぜひチェックしてみてください。

👉行動を起こそう!私たちにできるパレスチナ連帯アクション

10年後にはWBCで侍ジャパンを脅かすダークホースになっているかもしれないパレスチナ代表。今後の活躍に注目です。

パレスチナ野球をもっと知りたい方に

👉パレスチナ野球・ソフトボール協会公式インスタグラム 

👉WebマガジンPalestine in America
在米パレスチナ人をフィーチャーするWebマガジン。英語ですが、パレスチナ代表の最新情報や選手のストーリーなどをチェックできます。

👉パレスチナに連帯する北米の野球ファンコミュニティ “Baseball Community for Palestine”
ハマースによる越境攻撃は非難してもガザにおける虐殺には沈黙しているMLBをボイコットするよう呼びかけています。

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この記事を書いた人

大学院生。中東のことを勉強中。パレスチナの現状を前に、象牙の塔にこもっているのがもどかしくなりオリーブジャーナルに参加しました。ベイスターズファンです。

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